キャリアこそ短いが、流行りに囚われない独自の道を突き進み続ける新進気鋭のオルタナティブロックバンド、Helsinki Lambda Club(以下ヘルシンキ)とteto。バンドのスタンスや音楽性など共通点が多い2バンドが手を組んだ!それがこのスプリット盤「SPLIT」である。
さてこの2バンド、ぶっちゃけどちらもかなりヘンテコなバンドだ。一聴しただけでは「なにこれ?」となる人もいると思う。だが何回か聴くと、少しずつその独特な雰囲気にハマっていくのである。噛めば噛むほど味の出るガムのような中毒性、それが両バンドの魅力のひとつだ。なんやかんやこのCDは発売から2ヶ月近く経つのだが、自分の中で良い感じに味わえるようになったのでこの機会にレビュー(というかバンド紹介)したいと思う。
まずは赤コーナーヘルシンキの3曲。ヘルシンキは洋楽に影響を受けたシャレオツなメロディーもさながら、とにかく歌詞が面白い。
ヘルシンキ側のリードトラック、サビの歌詞でなんと言っているかおわかりだろうか。
あの時私たち I don't take it それかまいたち
曲中で1番大事な部分であるサビでこの歌詞(しかも4回繰り返す)。ただでさえ意味がわからない上にVo.橋本薫はさらっとこの歌詞を歌ってのけるので、一聴しただけだとホントに「なに言ってんの??」となる。これに限らずヘルシンキの歌詞は単純明快なメッセージ性よりも、少し捻った言い回しや語感を大事にしている部分が多いように思える(特に最近この傾向が強い)。それは時に唐突な場面転換や謎の韻踏みを生み出すが、これがめちゃくちゃ面白い。それでいて不意に、心をぐっと掴むフレーズが出てくるから気がつくとこのバンドに夢中になっちまうのだ…!ヘルシンキは3曲目「宵山ミラーボール」にてマッシュルームカットの君への一途な思いをスパッと歌い、次のtetoへとバトンを繋ぐ…
次いで青コーナー、tetoの3曲のレビューに移る。音楽性がにてる云々は前述した通りだが、こちらの方がパンク色が強いように思う。荒々しくも耳なじみの良いギターに乗せて、Vo.小池の言葉が圧縮された空気のように次々と飛ばされていく…このサマを一言で表すと「ただただカッケェ」。
そして彼らの音楽の根底には、パンキッシュな熱さだけではなくどこか無邪気さがある。andymoriとよく比較されるそうだが(確かにちょっと似てる)、共通点を挙げろと言われたら、「オルタナティブロックへの呆れるくらいの純粋な愛」と答えられるのかもしんない。ここに収録されてる3曲も、全曲3分もない短い曲ながら聴いた後に強烈なインパクトと余韻を残す名曲だ。
新しい時代をそっと新しい風で煽っていく
ここからかここからかここからかここから生きていく
tetoの3曲目でありこのCDのラスト曲、「新しい風」の最後のフレーズ。Helsinki Lambda Clubとteto、どちらのバンドも今の邦ロック界に風穴をぶちあけ、まさしく「新しい風」を吹かせようとしているバンドだ。是非彼らには存分に暴れまわってもらって、オルタナティブロック界隈を面白くしてほしい。そんな2バンドの決意と魅力がこの1枚で分かる!そんなCDでございます。