最近忙しくて記事が書けていなかった…反省
今回取り上げるのは、ラストソングでありながら、時を経てその存在意義を大きく変化させた曲。
プライマル。/THE YELLOW MONKEY
活動休止間際のイエモンは、というかVo.吉井和哉は、心身ともにかなり追い詰められていたことは想像に難くない。バンドと並行して出されたソロ楽曲は、艶やかで派手なイエモンのサウンドとは対照的な自省的な歌詞と暗いサウンドに包まれ、言動や行動の節々には「THE YELLOW MONKEY」という肩書きからの解放を望む思いが見え隠れしていた。それに呼応するように、バンド全体がゆるやかに終わりへと向かっていたんじゃないかと思っている。
「プライマル。」はそんな、心身ともにギリギリとなった彼らが活動休止宣言後に発表した曲。結局そのまま解散してしまったので、事実上これがラストソング。だがこの曲には、歩みを止める決断をするまで追い詰められた重たい空気は少しも感じられない。ホーンセクションが高らかに響き渡るイントロから始まる、少々面食らうほどに明るい曲だ。
しかし歌詞を見ればすぐに、この曲のテーマが「決別」であることがわかる。「THE YELLOW MONKEY」という服を脱ぎ捨てた4人が、それぞれの道を進む自らの門出を祝うために作ったのが、この曲であるように思う。バンドを止めたことである意味開き直れたというか、決別したからこそ、《VERY GOOD だいぶイケそうだ》と前を向くことができたのかもしれない。
ひとつのバンドの終わりを象徴する決別の曲。しかし時が経ち、この曲は全く違う意味を持つことになる。
2016年、THE YELLOW MONKEY再結成。
活動休止後15年を経て突如アナウンスされた再結成。驚きと喜びの声の中、復活したバンドは怒涛の勢いで活動を始める。そして同年の5月11日、再結成後初のツアー初日、記念すべき1曲目を予想させ、生中継という形で答え合わせをする大々的な企画が行われた。
様々な予想が飛び交い、大盛り上がりの中ライブは開演。その1曲目こそが、「プライマル。」だった。
VERY GOOD だいぶイケそうだ
旅立ったら消せそうじゃん
今度は何を歌おうか?
卒業おめでとう
バンドからの卒業を歌った「決別の歌」はこの瞬間、「元イエモン」という肩書を卒業しもう一度バンドとして歩き出す決意を歌った「はじまりの歌」になった。15年という長い時を経て、「プライマル。」はイエモンの歴史の中でその意味合いを180度変化させた、ドラマチックな名曲となったのである。
そして個人的にはイエモンで一番好きなのがこの曲。上記のドラマチックさに加え、明るい曲調でありながら別れの切なさや悲しみとしっかり向き合っているのが、凄くグッとくる。メンバーの想いが嘘なく込められているような気がして、何度聞いても感動してしまう曲だ。
再結成後も過去の栄光に甘んじず、「今のTHE YELLOW MONKEY」をしっかり見せてくれる姿はとても頼もしい。これこそ理想的な再結成だと思っている。