ロックンロール戦線異常あり

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「ロキノン系」は「呪いの言葉」かも〜アバウトアロックンロールワードその1〜

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音楽用語、ふわふわしてるの多すぎじゃない?

 

と、常々思う。オルタナ、青春パンク、文学的な歌詞、グルーヴなどなど…「よくわかってないけど、なんとなく受け入れている」言葉の多いこと多いこと。

ただライブや音源の感想を書いて音楽ライターの真似事をしている以上、こういった言葉にもきちんと向き合っていかなければならないわけで。あえてそんな言葉に「独断と偏見で」突っ込む企画を始めてみた。「こいつはこんな風に考えてるんだな〜」くらいに見てもらえれば幸いです。

 

アバウトアロックンロールワード その1

 

「ロキノン系」 

元はテレビなどにあまり出ず、「ROCK'IN ON JAPAN(以下ロキノン)」などの音楽雑誌を中心に露出をしたり、その関連イベントによく出るアーティストを指した言葉。一応90年代後半から2000年代にかけて登場した、USオルタナやUKロックの流れを引き継いだ日本のバンドが中心となるようだ(ニコニコ大百科調べ)

1冊の音楽雑誌がジャンル名を冠する、という現象はなかなか興味深い。ロキノンがバンドシーンに与えた影響の大きさを物語る用語だと思う。

 

やさしい歌は歌えない

ロキノン系にはなれそも無い!

 (キュウソネコカミ/キュウソネコカミ)

キュウソネコカミ

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  • ロック
  • ¥255
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ただ、その言葉が生まれた当初はともかく、今はもう上記の意味はほとんど形骸化している。そもそも「ロキノン」が似たようなバンドばっかり取り扱っているかと言えば別にそうでもなく、年代やジャンルの壁はあまり意識せずかなり幅広く扱っている方だ(特に最近はアイドルやYouTuberを取り上げるなど、ますますその傾向が強くなっている)。常に新しい血を取り入れているからこそ、バンドに限らず日本の音楽シーンの「今」を映す雑誌として支持され続けているのだろう。

 

にも関わらず、音楽性もルーツも全く違うアーティストを「ロキノン系」という1単語で一括りにするのはいささか乱暴ではないか。KANA-BOON、グレイプバイン、KEYTALK、くるり、[Alexandros]…みんなロキノンで注目されたという意味では「ロキノン系」と言えてしまうのだから。

無理にひとくくりにすることは、かえってバンドの個性を殺すことに繋がる。そうなってしまえばもう、この言葉はただの「呪い」だ。

 

なんだかんだ今も「ロキノン系」という区分を見かけることは少なくない。だが今となってはもうこの言葉は、「その時流行っているバンド」程度の意味でしかないと捉えた方が安全だ。なんだったら流行りを小馬鹿にする意味合いで使われることも少なくないので、無為に使わない方が無難じゃないかとさえ思う。

 

そんな危うい言葉が未だにひとつの音楽ジャンルであるが如く一人歩きしているのは不思議なもんで、バンドシーンにおけるロキノンの存在の大きさが良くも悪くも変わっていないことの象徴…なのかもしれない