ロックンロール戦線異常あり

好きなものをつらつらと

2022年よかったアルバム ベテラン編

明けましておめでとうございます、そしてお久しぶりです。公私ともにバタバタしており、なかなか書くことに余裕が持てていない日々ですが、今年もマイペースに続けていきたいと思っています。

 

昨年の音楽シーンを振り返ってみると、コロナとの戦いは続きつつも多くのライブイベントが再開、また年末にかけてバンドをテーマにしたアニメが脚光を浴びるなど、ロック復権の狼煙が上がっているような、そんな年でした。そんな世相を反映してか、なんとなくここ数年よりも明るい作品、風通しのいい作品が増えた印象もあります。

 

さてさて今回の「年間ベスト」記事は、主にベテランアーティストに焦点を当て、個人的に良かった作品を紹介します。

え?「全然書いてなかった言い訳だろ」って?

なんでも正論言やいいってもんじゃねえんだよ!!!!

 

それではどうぞ

 

ASIAN KUNG-FU GENERATION 『プラネットフォークス』

 


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ここ最近のアジカンは、自分のペースで走る熟練ランナーのような安定感がある。衝動の赴くままがむしゃらに汗を流していた頃に愛着がある人からしたら物足りないかもしれないが、自分に合った呼吸やフォームを維持して風を切る姿に、当時とはまた違う安心感を覚えた。

一方でアルバムを聴き進めると、自らの走り方を確立しながらも小さな変化や工夫を繰り返していることがよくわかる。塩塚モエカ(羊文学)やROTH BART BARONら若いミュージシャンをゲストボーカルに招いて並走したり、ポエトリーリーディングやシンセを大胆に取り入れたスタイルを試したり、様々なチャレンジがアジカン本来のメロディや歌詞の良さと混ざり合い新鮮な風を呼び込んでいる。結成から26年、某アニメの影響で注目が期せずして高まるなか、バンドの面白さと貫禄を見せつけた1枚だ。

個人的ベストトラック:『雨音』

 

プラネットフォークス

プラネットフォークス

  • ASIAN KUNG-FU GENERATION
  • ロック
  • ¥2139

 

 

ドレスコーズ『戀愛大全』

 


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「コロナ禍によって失われた夏の景色」をコンセプトに生み出された本作は、前作『バイエル』に限らず、どこか内省的で閉じた空気が漂っていたこれまでと比べても、ずっと風通しの良い作品にとなった。

今回のコンセプトを表現するために志磨遼平が取り入れたのは、1980年代〜90年代初頭にかけて、NEWORDERやThe Cureらを中心に音楽シーンを席巻したニューウェイヴサウンド。セピアな輝きを放つシンセサイザーや残響感の残るギターサウンドは「今これ!?」という新鮮な驚きを感じさせつつも、幻想の中で広がる夏の世界を表現するのにこのうえなくマッチしている。

またリードトラック『やりすぎた天使』では、志磨が過去に組んでいた「毛皮のマリーズ」を彷彿とさせるグラムロック風のサウンドが復活しており、過去と現在が一周回って繋がったような唯一無二の作品になっている。

個人的ベストトラック:『夏の調べ』

 

Renaitaizen

Renaitaizen

  • ドレスコーズ
  • ロック
  • ¥2037

 

 

syrup16g『Les Misé blue』

 


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実に5年ぶりとなるsyrup16gの新譜。全編にわたってUKの風を感じるミドルテンポのギターロックが展開され、過去作から革新的な変化はほとんどない。強いていうなら少しサウンドが柔らかくなったかなあ…といったところか。

しかし曲中のあちらこちらに漂う希死念慮、厭世観、孤独といった仄暗い空気には確かな凄みがあり、聴き手をゆっくりと引き込んでいく。コロナ禍における社会の混乱によって、その言葉はこれまでよりも他人事でなく響いてくるようにも感じた。アルバムのラストに据えられたタイトル曲で《ひとりの世界は 仲間がいっぱい》と優しく語りかける彼らの姿は相変わらず弱々しいが、ひとりで過ごすことが増えてしまった僕らにとって不思議と頼もしく見える。

個人的ベストトラック:『Alone In Lonely』

 

Les Misé blue

Les Misé blue

  • syrup16g
  • オルタナティブ
  • ¥2444

 

 

SNAKE ON THE BEACH『SINGS』

 


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The Birthdayのフロントマン、チバユウスケの3枚目のソロアルバム。これまでインスト作品がメインとなっていた彼の作品としては初めて、全曲が「歌モノ」で構成された1枚。ソロということもあってか、バンド以上にチバのパーソナルな想いがとつとつと紡がれている。

曲のいたるところで「喪失」が歌われているのは、コロナ禍や戦争で死が身近になったことの表れか。The Birthdayの直近の作品にて《言葉と音に縛られて生きるのはもうやめよう》と歌っていた彼があえて「歌」を全面に押し出してきたことに初めは驚いたが、《異常が日常になり 銃声がソナタのように聴こえ始めたから 僕は歌うことにした》という並々ならぬフレーズがその答えを示す。歌わなければ、声を出さなければいけないという危機感にも似た衝動が、今の彼を突き動かしているように感じる。

ベストトラック:『ラブレター』

 

SINGS

SINGS

  • YUSUKE CHIBA - SNAKE ON THE BEACH -
  • ロック
  • ¥2139

 

 

今年も頑張って書くぞー