俺は夏が嫌いだ
暑いし 寝苦しいし 蚊うぜーし セミうるせーし 祭りにはカップルが大量発生するし もちろん楽しい思い出だってある でも辛かったりうまくいかなかった記憶が山程夏にはあるのだ(具体的には言わないが)
花火に浮かれるカップルを羨望と憎しみの眼差しで見つめている男がいたらそれは俺だ 全員木端微塵にしてやる あの地球人のように
そんな夏の初めに買った今回のアルバム とっても良い 神聖かまってちゃんの持つ狂気も優しさも 全てがこの8曲に詰め込まれている
今作のリードトラック これまでのかまってちゃんの曲と比べ格段に明るく 前向きだ でもかまってちゃんらしさは少しも失われていない 比較的綺麗な声で歌われるサビだが「いやなこと」「上手くいかない」この二つのフレーズのみ極端に強い叫び声で歌われる たったこれだけでこの曲がただの応援ソングだけで収まらない曲だということが何となくわかる 嫌なこと 上手くいかないこと 作詞者であるVo.の子はそのどちらも俺たちよりはるかに多く経験してきたはずだ だからそこの二つのフレーズは叫ばずにいられなかったのではないか…と自分は考えている
の子はとても素直な人なのかもしれない いやきっとそうだろう そうでもなければ自分の内にある狂気も優しさもここまで曝け出すことはできないはずだ
そんなの子の抑えられない衝動を全て楽曲のポップさが包みこんでしまう かまってちゃん最大の強みは「ポップと狂気の繊細すぎるくらいのバランスの良さ」だと思う
個人的なお気に入りはM7「ロマンス」と最終曲「天文学的なその数から」どちらも美メロの良い曲だが 歌詞の内容はかなり異なる 絶望 虚無感を描いた前者と純粋な恋心を描いた後者 この二曲が連続してもアルバムが形を保てるのは 神聖かまってちゃんの どんな曲でもポップに落とし込める懐の広さゆえだ
辛く気だるい そんな季節にほんの少し涼しい風を吹かせるようなアルバムだ 人生良いことばっかじゃ無いけど きっとやっていける そんな根拠の無い だが不思議と力強い自信が生まれてくる…ような気がする
夏 嫌いなりに頑張って過ごしてみるよ