今年もやってまいりました。
未曾有の事態の中で、様々な環境が激変した1年。不安に襲われる日々がこれまで以上に増えた中で、自分の精神をギリギリ支えてくれたのは、やはり音楽だったように思う。特に長らくアルバムを出していなかったミュージシャンが、久しぶりの作品で変わらない魅力を示しているのを見ると、なんだかほっとするような、勇気をもらえるような、そんな気持ちになることができた。
そんなわけで毎年恒例、今年出たアルバムの中で特に気に入った作品を10作選ばせてもらった。もうアルバムで音楽を聴くのは古いのかもしれないが、あえて今年もこのスタンスでやらせていただく。深い理由はないけど。
例の如くその時の気分で選んでいるので、順位はあまり気にせず読んでいただければ幸いです。過去の関連記事も貼っているので、年末年始の暇な時間のお供にのんびりとお読みください。
第10位 大切にしたいこと/THE BOYS&GIRLS
1人体制になって初のアルバム。『少年と少女』『ロックンロール』など、このバンドを象徴する言葉を冠した曲もあり、もうひとつの1stアルバムといえるのかもしれない。
時代や社会が変わっても、Vo.ワタナベシンゴの言葉は変わらず僕らに寄り添い、背中を押してくれる。癒えない傷も終わらない孤独も全て背負い込んで泥臭く走り続けるその姿は、ただただ眩しい。
第9位 Permanent Collection/明日、照らす
明日、照らす「Permanent Collecition」teaser
名古屋が生んだ実力派バンド明日、照らすの実に7年ぶりとなるアルバム。
開放的なバンドサウンドとちょっとリアルな恋愛観が表れた歌詞で、心をきゅっとつねってくる感じはこれまでと何も変わっていない。一方で、亡くなった友人に捧げた『K』を筆頭に、歳を重ねたからこそ生まれた曲もあり、間違いなく「今の明日、照らす」を感じられる1枚。
第8位 遊園地は遠い/シュリスペイロフ
前作『聞えた』から3年ぶりのフルアルバム。Vo.Gt.宮本のギターがパワーコード主体になり、これまでよりサウンドがソリッドになった。またリード曲『つまんないね』を筆頭に、シンプルだからこそ耳にこびりついて離れない独特なギターリフが、アルバム全体を彩っている。
「遊園地は遠い」というタイトルだが決して悲観的ではない。華やかな世界を遠目に見つつ、時に退屈を感じながらなんだかんだで日々を楽しんでいる姿を、素朴なタッチで描いた名盤。
第7位 21st Century Cultboi Ride a Sk8board/Mom
J-POP、ヒップホップといったジャンルの壁を飛び越え、新時代の音楽を模索し続けているMomの3rdアルバム。
前作で表現された自らの内面に深く切り込む姿勢が、「世間へのシニカルな目線」へ還元されたことでアルバム全体が痛烈な批評性を帯びている。一方で「アンチタイムトラベル」や「ゴーストワーク」では持ち前のポップネス性を存分に発揮。Mom自身のあどけない見た目も相まって、まるで幼い子供のような、無邪気さと残酷さを併せ持った作品。
第6位 怠惰と日々/Transit My Youth
今年出会った若手バンドの中で個人的に一番注目している、Transit my youthの初の全国流通版。
明るいけれどちょっとひねくれたポップセンスが好みにぶっ刺さってくる。ライブの雰囲気が『ソングバード』のMVのまんまだったのも嬉しかった。
第5位 Koozie Ammolites/COSMOS
昨年リリースされた『レモンキスタ』に続き、今作もVo.マエダカズシの「歌のちから」を存分に感じられる一枚。暗闇の中でも希望を叫び続ける『エスポワール』、悲しみの本質に迫った『悲しみの全てが涙ならば』など、不安や絶望を受け止めつつ、そこから光を見出そうとする彼らの音楽は、どこまでも強く、優しい。
第4位 STRAY SHEEP/米津玄師
説明不要の名盤。1曲1曲の存在感が凄まじく、特に怒涛の勢いでヒット曲、リード曲が続く序盤〜中盤は「ボスラッシュ」のような破壊力がある。
『Flamingo』の独特な歌い回しが顕著だが、「キャッチーでわかりやすい」だけでなく、一定の歪さを残したまま聴き手の心を掴めるのは、間違いなく彼の強みだ。タイアップとか豪華ゲストとか関係なく、米津玄師自身のズバ抜けたポップセンスが様々な形で表現された1枚。
第3位 ロックンロールはいらない/山中さわお
山中さわお / アインザッツ [Yamanaka Sawao / Einsatz]
1年で8枚の音源を出すというとんでもない創作欲の強さを見せつけたさわおさん。その中でも、この1年で変わってしまった世界への怒り、悲しみが色濃く出ている作品。
これまで幾度となくロックンロールの力を叫び続けているからこそ、《ロックンロールはいらない 大衆に媚びた戯言だ》と歌わざるを得なかった彼の心境を考えると胸が苦しい。それでも最後の曲を聞けば、彼がロックンロールを今でも信じ続けていることはわかる。「山中さわお」という1人のロッカーの生き様が刻みつけられた、彼のキャリアの中でも重要な意味を持つ1枚だと思う。
第2位 ねえみんな大好きだよ/銀杏BOYZ
これについては先日書いたアルバムレビューを見てくださいな。
銀杏BOYZがこれまで幾度となく歌ってきた「恋」のあり方について、ひとつの答えを出した作品と言っても過言はないと思う。
第1位 3020/SuiseiNoboAz
12月に入り、ほとんど確定していた今年のランキングに突如滑り込みで入ってきた傑作。
混沌と不安が渦巻く世界の中で、千年後の未来への希望を歌った1枚。決して現実逃避ではなく、遠い未来まで届くように「今」歌い続けなければならないという決意がこもった作品。
毎度毎度感想やリツイートなどの反応ありがとうございます、2021年も、もっとこのブログを盛り上げていければと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
追記:noteを始めました。手始めにこの記事に載せられなかった作品を番外編として載せてます。ブログ共々よろしくお願いします。